従来、百日咳は小児の疾患と考えられていましたが、10年ほど前から成人の百日咳の発生が増加してきました。2010年には百日咳患者の約半数は20歳以上の成人が占めています。
最近の傾向として、小児の百日咳の感染源は保護者のかたが多く、仕事先、通勤などで百日咳に感染し、家庭に帰ってこどもたちにうつしてしまうケースが増えています。
日本小児感染症学会は新しく作成した2017年ガイドラインで、百日咳診断基準として、以下のように記しています。
臨床診断例
1週間以上の咳を有し、かつ以下の特徴的な咳、あるいは症状を1つ以上呈した症例(1歳未満の場合、期間の限定なし)
- 呼吸性笛声
- 発作性の連続性の咳嗽
- 咳嗽後の嘔吐
- 無呼吸発作(チアノーゼの有無は問わない)
確定例
- 臨床診断例の定義を満たし、かつ検査診断陽性
- 臨床診断例の定義を満たし、かつ検査確定例と接触があった例
検査での確定
- 咳発症後からの期間を問わず、百日咳菌の分離あるいはPCR法またはLAMP法において陽性
- 血清診断:百日咳菌-IgM/IgA抗体およびPT-IgG抗体価の有意な上昇
としています。
乳児期早期に百日咳を発症した場合は重症化しやすいため原則として入院治療が必要となります。
百日咳菌ワクチンを含む4種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)が生後3か月から始まりますので、早めに接種して行きましょう